偏った食事や、運動不足、飲酒・喫煙・ストレスが習慣となった生活を続けていると、高脂血症や高血圧、糖尿病といった生活習慣病を引き起こします。これらはサイレントキラーと呼ばれ、知らないうちに動脈硬化を進行させます。
また、これらの病気に肥満が加わると、単独でのリスクは軽くても、積み重なることによりリスクが増大します。
血管壁にコレステロールがたまってかたまり(プラーク)になり、血液の流れが悪くなります。重症になるとプラークが破れ、血管を完全にふさいでしまいます。
何もしないで放っておくと、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、下肢の壊死、突然死など、さまざまな病気を引き起こします。
そうならないために、まずは生活習慣の改善からはじめましょう。
収縮期血圧140mmHg以上拡張期血圧90mmHg以上 と定義されています。
遺伝、塩分の取りすぎ、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因となります。
血圧は一日の間で上がったり下がったりしています。一般に睡眠中は下がっており、朝は体を活発にする交感神経が働くことにより、血圧は高くなります。
ですから、昼間の血圧が正常でも注意が必要です。特に昼間の血圧が正常で、朝起きた時の血圧が高い状態を早朝高血圧といいます。
早朝高血圧の人は脳卒中や心筋梗塞などの病気を引き起こす危険性が高くなります。
早朝高血圧の有無を確認するためには、家庭での血圧測定が重要です。
血圧計は二の腕で測るタイプ(上腕カフ型血圧計)を使いましょう。
座った状態で、腕を心臓の高さと同じにし、安静にします。
毎日、決まった時間に測ります。
朝は起床後1時間以内の朝食・服用前(排尿は済ませておきましょう)
できれば夜、寝る前にも測りましょう。
ゆっくり落ち着いて測る
座って1~2分待ち、落ち着いてから測りましょう。
記録はきちんと正確に。
測定した時刻、血圧値、心拍数を記録しておきましょう。
高血圧基準値:家庭血圧計で図る場合は、135/85mmHg以上が高血圧です。
日本高血圧学会は、高血圧の治療に対する目標値を以下のように設定しています。
若年・中年までの方
収縮期血圧 130mmHg未満
拡張期血圧 80mmHg未満
糖尿病+腎臓の悪い方
収縮期血圧 130mmHg未満
拡張期血圧 85mmHg未満
高齢の方(65歳以上を目安)
収縮期血圧 140mmHg未満
拡張期血圧 90mmHg未満
日本人に多い脳卒中は高血圧との関係が強く、また高血圧では臓器障害も進行するので、血圧をしっかり持続して下げることが大切です。
しっかり下げる
24時間持続して下げる
早朝の血圧上昇を抑える
※野菜・果物の摂取は腎臓の病気の方にはお勧めできません。また糖尿病の方には、果物の摂取がカロリーの増加につながることがあるのでお勧めできません。迷ったり分からないことがあれば医師や栄養士などに相談して下さい。
生活習慣の改善を行っても効果の認められないときに、薬物療法を追加します。
【主な高血圧の治療薬】・カルシウム拮抗薬・A-∥受容体拮抗薬(アンジオテンシン∥受容体拮抗薬)・ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)・利尿薬・β遮断薬(ベータブロッカー)・α遮断薬(アルファブロッカー)
※薬を飲んで血圧が低下しているときに、勝手に薬をやめれば血圧は元の高い状態に戻り、危険な場合になることもあります。必ず医師の指導にしたがって薬を服用しましょう。
空腹時の血液中の脂質が、LDH-コレステロール(善玉コレステロール)140mg/dL以上HDL-コレステロール(悪玉コレステロール)40mg/dL未満トリグリセリド150mg/dL以上と定義されています。
コレステロールのうち、LDLは「悪玉」と呼ばれ、増えすぎると動脈硬化を進行させます。対照的にHDLは「善玉」と呼ばれ、動脈硬化の進行を抑制します。
危険因子を併せ持つほど動脈硬化のリスクが高まるため、危険因子の数で治療目標値が異なります。
生活習慣を改善しても脂質が目標値に届かないときは、薬物療法を追加します。勝手に薬をやめたり、生活習慣が元に戻ると、治療前よりも悪化してしまう恐れがあります。根気良く気長に病気とつきあう覚悟が必要です。
【主な高脂血症の治療薬】・HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系製剤)・陰イオン交換樹脂・プロブコール・フィブラート系薬剤・ニコチン酸製剤・EPA製剤
空腹時の血糖値が126mg/dL以上と定義されています。
遺伝的体質の他に、肥満、過食、運動不足も原因となります。
1、食生活・・・決まったエネルギー量をバランス良く朝・昼・夕と規則正しくとりましょう。
2、運動不足の解消・・・糖分(ブドウ糖)をエネルギーとして利用し消費を高め、運動不足を解消しましょう。
食事療法・運動療法を行っていても、血糖値が下がらない場合は薬物療法が考慮されます。
※治療方法は、患者さんによって異なります。必ず医師に相談しましょう。
血清尿酸値の正常値の範囲は、男性で3.4~7.0mg/dL、女性で2.4~7.0mg/dLが目安です。
尿酸値が高いと痛風(高尿酸値血症)になりやすいですが、低すぎても腎障害や尿路結石が起こることがあるので、正常値の範囲内にない場合は一度受診をすることをおすすめします。
1、食生活(一覧はこちら>>)
プリン体が多く含まれるビールや魚卵などは控え、バランスの取れた食事をとりましょう。
アルカリ性のわかめやひじきなどの海藻類、ホウレンソウ、ごぼうなどの野菜類などを多くとりましょう。
2、適度な有酸素運動を心掛けましょう。(※激しい運動はかえって尿酸値をぐんと上げる原因にもなってしまいます。)
3.水分を多くとりましょう。
食事療法を行っていても、尿酸値が下がらない場合は薬物療法が考慮されます。※治療方法は、患者さんによって異なります。必ず医師に相談しましょう。
「メタボリックシンドローム」とは、「内臓脂肪の蓄積」が原因で、コレステロール・血圧・血糖値などが少し高くなり(高血圧・高脂血症・糖尿病)、それらが複数重なった状態を言います。
この状態を放っておくと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などを招きやすくなります。
内臓脂肪の蓄積を正確に知るためにはCT検査をおこなう必要がありますが、ウエスト径でも内臓脂肪の判定が可能です。
立った姿勢で、息を軽く吐き、おへその位置でウエストを計って下さい。※明らかにおなかが出ている人は下の肋骨と骨盤の中間ぐらいを測って下さい。
ウエスト径が男性の場合は85cm、女性の場合は90cm以上あると内蔵脂肪の蓄積があると考えられます。
この腹部肥満に加え、以下の項目のうち、2つ以上あてはまる方はメタボリックシンドロームと診断されます。
リボ蛋白異常 | 高トリグリセリド血症 150mg/dL以上 かつ/または 低HDLコレステロール血症 40mg/dL未満 男女とも |
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血圧高値収縮期血圧 | 130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧 85mmHg以上 |
高血糖 | 空腹時血糖 110mg/dL以上 |
メタボリックシンドロームの治療では、まず原因となる内臓脂肪を減らす必要があります。他の生活習慣病と同様にバランスのよい食事と適度な運動をおこなうことにより、内臓脂肪を減らすことができます。
生活習慣病やメタボリックシンドロームの治療には、生活習慣の改善が重要です。
一般的で適切な食事量や運動量を知ってもらう事はとても大切ですが、みなさんにとってそれが無理なく楽しく続けられるものであってほしいと願っています。そのために、あなたにあった、あなた独自のやり方をアレンジしましょう。薬にたよらないで、生活を少し変えるだけで健康になれる方法がきっとあります。